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ゆるやかで自由。「ニイガタ読書会」が生み出す偶発的面白さ

2017年12月22日
text & photo by 坂場孝子
皆さんは「読書会」に参加したことがあるでしょうか。
本好きが集まり、お勧め本を紹介したり、テーマとなった本について感想を話し合う会のことです。
一昔前までは図書館や公の施設でチラシを掲示しての開催が主でしたが、インターネットやSNSの急速な発展により、より気軽に人が集いやすくなっています。
各地で様々な読書会が開催され、中には数十人が一堂に会す大規模なものもあります。

「よむひと」が活動している新潟市でも、複数の読書会が開催されています。
本を読むだけでなく人と感想を話し合うのが好きな私は、数年前から様々な読書会に顔を出し、自分でも主催しています。
大小問わずたくさんある読書会の中、参加するたびに楽しく、繰り返し顔を出している読書会があります。

「ニイガタ読書会」です。


2010年の初夏に第1回が開催され、7年半後の現在(2017年12月)は123回を数えます。
その間、会を立ち上げたタケオさんから2代目の小田昌栄さんに管理人が引き継がれましたが、今なお定期的に読書会は継続されており、安定の楽しさと盛り上がりを見せます。

様々なジャンルの本好きが年代問わず参加し、毎回話が縦横無尽に動いて楽しい。
話しやすさや雰囲気の良さが素晴らしく、どうやってこんな風に開催できるのだろうと参加するたびにいつも思っていました。

今回「よむひと」を立ち上げる際、何かサイト上に読み物を掲載したいと考えていて、真っ先に「ニイガタ読書会」のことが頭に浮かびました。
ニイガタ読書会の面白さの理由がどこにあるのか聞いてみたかったのです。

インタビューをお願いした時はまだ活動を始める前だったのですが、それにも関わらずタケオさんと小田さんに快諾していただけました。
12月の雨風の強い日、3人で集まり、お話を伺うことができました。


✒︎プロフィール
✒︎タケオ
旅人
初代「ニイガタ読書会」管理人
Blog「世界一周|明日、旅に出る」

お勧め本:『カラフル』森絵都 文春文庫
✒︎小田 昌栄(おだ まさえい)
1965年生まれ
会社員
2代目「ニイガタ読書会」管理人
「にいがたe朝活」主催

お勧め本:『ガープの世界』ジョン・アーヴィング 新潮文庫
おすすめ書店:ジュンク堂書店

✒︎失恋がきっかけの読書会立ち上げ

ー読書会を始めたきっかけを教えて下さい。

タケオ:きっかけは失恋からです。

小田:えっ!

ーえっ!

タケオ:元々東京の友達から、新潟で読書会をやらないかと誘われていたんです。ちょうどその友達が、全国にカタカナの読書会のネットワークを広げていこうとしてたんですね。それで、失恋で時間もできたのでやってみようかなという軽いノリです。でも、集まるのかなあと。まあとりあえずやってみようということで始めました。
            
それまで読書会に出たことはありませんでした。まっさらな状態です。だから、どうやってやるんだろう、知らない人とどうやって集まるんだろうと最初は思っていましたね。

ーまっさらな状態から、どうやって読書会を立ち上げたのでしょうか?

タケオ:最初はmixiのページで集めました。第1回の参加者は、読書会に誘ってくれた友達の友人も含めて5人です。 1回目は面白かったですよ。最初からすごい話し込んで盛り上がりました。 でも勝手がわからないからめちゃめちゃ時間が長くて。 その最初の5人がその後5回目くらいまでずっと参加してくれたんです。 喋る人が欲しかったのかな。本を読む人って喋る場所がないんですよね。

小田:うんうん、たしかに。

タケオ:普通の友達だと聞いてくれないんですよね。あまり本を読まない人も多いし。

ー読書会のペースはどのくらいでやっていましたか?

タケオ:最初はなるべく月2でやっていました。

小田:今は月1ですね。私はそのくらいのペースでないと難しい。

タケオ:俺に読書会を進めた友人が月2でやってたから、じゃあ俺もそのペースで行こうかなと。でも俺も月2はきつかったんですよね。自分の読書のペースもあるし。あと、当時はシフトの仕事をやっていたので、日曜が定休じゃなかったんですよ。だから、読書会やってから仕事に行ったりとか、夜勤明けで読書会したりとか。

小田:あったあった、ありましたね。

タケオ:マラソンしたりクライミングしたりといった活動もやっていたので忙しかったんですね。コンスタントに同じ時間や曜日にやるのは難しいから、平日にやったりとか、俺の仕事の都合に合わせたりとかもしていました。場所はスタバだったり、県の図書館だったり。

小田:ほんぽーと(※新潟市中央図書館)や駅南の公民館、万代市民会館でもやりましたね。

ー飲み会などのイベントも開催されてましたよね。

タケオ:皆飲みたがるから、じゃあ忘年会やる? みたいな。最初は読書会は読書会だけの付き合いにしようかなと思ってたんだけど、やっぱり皆飲みたいんですよね。だから忘年会とか、周年記念とかやりました。

小田:キャンプもやったよね。

タケオ:やりましたね。僕が開催する最後の時です。

海辺での読書会。コーヒーやフレンチトーストを囲んで。(写真提供「ニイガタ読書会」)


✒︎SNS利用者増に伴うイベントの広がり

ー小田さんはいつ頃から参加されているのでしょうか。

小田:私はmixiをやってなかったので、最初はメールで申し込みました。読書会を検索したら引っかかったんですよ。

タケオ:小田さんが参加されたのは、読書会を開催し始めて2年たたないくらいからですね。

ーニイガタ読書会に参加してみようと思ったきっかけは何でしょう?

小田:その頃ちょうど朝活か何かでニイガタ読書会のことを聞いていたんですね。それで検索した時にヒットしたのでメールで申し込みました。

タケオ:そう、その頃読書会に出ている人が朝活にも参加していて、そこで繋がって朝活で聞いて読書会に来ましたという人も多かったんですよ。ほかの読書会と一緒のイベントもしたりして。SNSがあってすごく広がりやすかったです。ちょうどいい時期でした。

小田:2012年頃はmixiからFacebookに移行する人が多かった時期と重なって、朝活や読書会などの活動にもちょうど関心が高まった時期でしたね。その頃もニイガタ読書会のほかにも新潟でいくつか読書会が開催されていました。

ーニイガタ読書会はmixiのほかにブログ、Facebookでのグループがありますが、参加者が経由するページはどういった割合ですか?

タケオ:最初はmixiが多くて、 その後Facebookに移行していきました。今はmixiはゼロです。ブログからのメールは1割にも満たなかったですね。

小田:今はFacebookのみですね。そこは今後ちょっと考えようと思っています。


ニイガタ読書会は、開始1年足らずで新潟日報の朝刊や新潟よみうりの折込チラシ、FM PORTでも紹介されるなどして、順調に参加者を増やしていきます。
しかし、主催のタケオさんは2015年9月に世界一周の旅へ。
それを機に、管理人を2代目の小田さんが引き継ぎました。


ーその後タケオさんが世界一周に行くので開催100回で管理人を小田さんに交代するわけなんですが、読書会自体を終わりにしようと思わなかったのでしょうか。

タケオ:そうですね、参加したい人はたくさんいるし、誰かが続けてくれるなら続けた方がいいだろうなと思って。ここまできたし。

ー小田さんに管理人をお願いした理由などはありますか?

タケオ:小田さんの人柄を見込んでですね。小田さんなら適任だなと。

ー本当にそうですよね。今もスムーズに会が開催されていますし。

小田:いや、でもタケオさんがやってた頃と来てくださる方は変わっていますよ。

タケオ:やっぱり主催者によって集まる人は変わりますよね。

小田:そう。主催者と気が合う人が来るからね。



✒︎楽しく、ゆるく、フリーダムに

ーニイガタ読書会に参加するたびに雰囲気の良さを感じるのですが、開催にあたって気をつけていることやコツがあるのでしょうか。

タケオ:俺はないですね。とりあえず楽しくかな。まず俺が楽しく。あとはなるべく皆に喋ってほしいなと。

小田:うんうん。

タケオ:俺は皆に話題を振るのがあまり得意じゃないので、皆がちょっとずつ口を出していくのがベストですね。人数は多く集めたかったんですね。でも、人数を多く集めるとまとまらなくて喋る人が偏っちゃうんですよ。10人いるとしたら、全然喋らない人もいるから。喋る人が1人2人とか。

ーそういうときは喋らない人に話を振ったりするんですか?

タケオ:うーん、あまり振らないです。多分、本によって興味ある話とない話があるから。話したい話題の時は話してくれるだろうと。基本は参加している人でその場の雰囲気を作ってもらいますね。雰囲気の良さに関しては、最初開催した時に俺と気の合う人が集まってくれたから、その流れがずっと続いてるのかもしれません。もちろん参加者の出たり入ったりはあるんだけど、全員が初参加ということはないから、常に元々ある雰囲気を継続しているのだと思います。

小田:そう、レギュラー的な人が必ずいらっしゃるので、知らず知らずのうちにその方たちが会の雰囲気を作ってくれているかもしれないですね。

タケオ:今は管理人が小田さんに変わりましたし、だんだん小田さんの色になっていくと思います。もちろん俺がやっていた時のメンバーも来てくれているけれど、そこに小田さんの知り合いがどんどん参加してくれるだろうし。

小田:そうですね。あと、今はFacebookで読書会を宣伝していますが、私のTLにも載せていますし、いいねを押してくれた人のTLにも出ます。シェアしてくれる人もいるので、私が知らない人にもどんどん広がっているんですね。だから、読書会のFacebookグループに全然知らない人からも参加申請が来ますよ。

タケオ:そうですね、知らない人からの申請の方が多かったりします。

ー小田さんは読書会開催で気をつけていることやコツはありますか。

小田:タケオスタイル。

タケオ:つまりないってことでしょ(笑)

小田:いやいや(笑)初めてタケオさんの読書会に出た時にちょっと衝撃的だったのは、初参加の人に最初に本の紹介をしてもらうこと。それを今もやってるんです。最初にやると、あとは茶々入れるだけなので楽になりますよって言うと皆さん大体やってくれる。それを真似してます。

タケオ:小田さんは何番目くらいがいいですか。

小田:私は別に順番にはこだわらないですけど、最初はちょっとびっくりしましたね。無茶振りするんだなと。

タケオ:俺自身、さっさと紹介したいんですよ。そのあと気が楽になるから。

小田:プレゼン的な要素がなきにしもあらずだから緊張するよね。

タケオ:あまり真剣に考えてかしこまるより、俺は参加者の方に好きなように喋ってもらえればいいかなと思ってるんです。終わったらこっちからいろいろ聞くので。初参加の場合、ほかの人のを聞いてからやると、こんな風にやらないとダメなのかなと思いますよね。別にそういった形はないんだよと知ってもらいたくて、一番最初に喋ってもらってます。

小田:初参加で一番最後だと、すごい緊張して待たないといけなくなるかもだし。

タケオ:たまにすごい緊張している人いますからね。

小田:するする。知らない人のところに入ってお話ししなきゃダメなんだもの。

タケオ:俺もほかの人の読書会に行ったら緊張しちゃうんですけどね、きっと。



✒︎紹介される本のジャンルの幅広さと、読書会の醍醐味

ーこれまで紹介された本のリストを見ると、いろんなジャンルの本がたくさんあって面白いですよね。2010年に読書会を始めて開催した時から現在まで、紹介される本の傾向に変化はありましたか。

小田:統計を取ってないからはっきりとはわかりませんが、小説は多いかな。
         
タケオ:小説は半分くらいですかね。

小田:皆さんいろんなもの持ってこられますね。

ある日の読書会で紹介されたもの。ジャンルは多岐に渡る。


タケオ:うん。あの、小説って、紹介するの難しいですよね。

小田:難しいよね。登場人物くらいは言えるけど、あらすじとかをあまり言わないで紹介するの、ものすごく困るんですよ。

タケオ:自分の中で話はわかるけど、それをどうやってまとめて伝えるかっていうのが難しい。

小田:最初のさわりくらいは言えるけど、そのあとの展開はぜひ実際に読んでほしい。

タケオ:俺がそうなんですけど、小説を紹介されてもなかなか頭に入ってこない。聞いている人を引き込むのが小説っていうのはすごい難しい。

小田:そうそう。

タケオ:情報系の本や自己啓発は中身を説明しやすいんだけど、小説のストーリーを言われてもなかなか情景が浮かんでこなくて。紹介する人の上手い下手とかもあるのかな。

小田:それはあるかもしれないね。

タケオ:そこはプレゼン能力になるんでしょうね。ラジオを聴いていて小説の紹介があるとすげえ引き込まれるんですよ。プロだから、話し方とか上手いんですよね。

ーお2人が紹介する本はどのジャンルが多いですか?

タケオ:俺は最初小説しか紹介してなくて、途中から自己啓発の本が多くなりました。

小田:私は情報系のものが好きですね。本でしか手に入らない情報ってあるじゃないですか。新書とかすごく好きなんですよ。一冊読むと、大まかだけどそのテーマについてアウトラインを掴めるので。そういう本は本の紹介というより情報の紹介になるからわかりやすいです。

ー様々なジャンルの本が紹介されるニイガタ読書会は、年代も立場も性別もまたバラバラですけど、参加しやすい雰囲気があります。とても自由で。

小田:皆さんその本を選ぶ理由がやっぱりあって、読書会ではその辺を聞きたいですね。

タケオ:読書会をやってなかったら会わなかったんだろうなあっていう人にめちゃくちゃいっぱい会うから面白いですよ。

小田:本のことを話せる場所ってあまりないんですね。皆それぞれ個性的だけど、本好きだということは一致している。共通点があるから話していると盛り上がるんです。



今回お話を伺っていて感じたことは、タケオさんと小田さんのタイプは違うけれど、「ゆるやかな自由さ」が共通しているということ。
読書会でも、管理人として会を仕切るのではなく、参加者のひとりとして出てくる話や話題に静かに耳を傾けています。
ゆるやかな雰囲気の中で、参加者は話をしやすくなります。
そこに、開催120回を超える会の土壌の深さが加わり、毎回その参加者の組み合わせでしか生まれない場ができる。
それは偶発的なものであり、その日その場でしか体験できないものとなるのです。

読書会の面白さを一言で説明するのは難しいですし、読書会に参加する理由も人それぞれ違うでしょう。
でもただ一つ言えることは、読書会にはひとりで本を読んでいるだけでは感じられない面白さがあるということ。
今回「ニイガタ読書会」のお2人にお話を伺っていて、それを改めて感じました。

「ニイガタ読書会」は、読書会の面白さをまさしく体現している会なのです。



✒︎「ニイガタ読書会」への参加方法
Facebookグループ「ニイガタ読書会/新潟市 本の虫」に参加申請を送ります。
読書会ごとにイベントページが立ち上がりますので、そこで参加ボタンを押して下さい。



インタビュー日:12月3日(日) 場所:スターバックス新潟紫竹山店

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